勉強、習い事、お手伝いやお片付け…お子さんが何かを続けて習慣にすることって中々難しいですよね。「三日坊主」という言葉もあるくらいですから、すぐに飽きてやる気をなくしてしまって、親御さんからしたらもどかしい思いをすることもあるかもしれません。今回はお子さんが三日坊主を乗り越えて「習慣化」できる「やる気の引き出し方」についてお話しします。
目次
「三日坊主」を克服しよう!
「三日坊主」は仕方がないことだった!
「三日坊主」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。「何かを始めても続けられずにすぐやめてしまうこと」という意味も合わせて多くの方が知っている、そして経験したことがあると思います。この三日は具体的な日数を指すのではなく「短い間」を表します。僧侶になろうとした人が修行の厳しさや生活環境のギャップに三日で修業をやめてしまったことが由来になっていると言われている言葉のようですが、まるで「意志が弱い人」という悪い印象がある言葉ですよね。でも実はこの「三日坊主」は人間になくてはならない大事な機能であり、仕方のないことなんです!
脳は飽きっぽい!
私たちの脳には「馴化(じゅんか)」という機能があります。簡単に言うと「慣れる」ということです。初めて訪れた土地、初めて経験する気候、最初は戸惑いますが、私たちは次第に環境に適応するようになります。それと同じで、毎日目にするもの、毎日やることにいちいち戸惑っていたり、驚いていたら物事もスムーズに進まないし、疲れてしまいますよね。「馴化」は生きていくための反応ともいう必要な機能なんです。だから私たちが「新しく始めたことに慣れる」「慣れてマンネリ化する」「マンネリ化して飽きてしまう」というのは普通の反応であり、脳の機能上「仕方がないこと」と言えるんです。「三日坊主」もこの「馴化」が影響しているんです。
「慣れる」には2通りある
脳の「馴化」は「慣れる」ことですが、この「慣れる」には2通りあります。
一つは先ほどの「三日坊主」。慣れて飽きてしまうパターンです。
もう一つは「習慣化」。慣れて「やることが当然」になるパターンです。
子どもの勉強、習い事…多くの親御さんにとって「習慣化」する以上にありがたいことはありませんよね。習慣になれば親が口うるさく言わなくても子どもはちゃんとやってくれるのですから、双方にとってこんなに楽なことはないと思います。でも習慣になるための一番大きな壁は「続けないといけない」ということ。諸説ありますが、物事が習慣になるまでに約3週間かかると言われています。その3週間「三日坊主」に打ち勝って、毎日きちんと続けていくこと。大人でも難しいこの「馴化」との闘いを、お子さんにどうやってやらせたらいいものでしょうか。
モチベーションを持続させたい!でも出来ない…
「よし!今日から朝ランニングするぞ!」と決意し、初日、2日目…21日目と簡単に続けられればいいのですがそううまくは行きません。新しいことを始めた数日間はモチベーションも高く、新鮮味もありますが、1週間と経たないうちに段々マンネリ化してきます。そして雨が続いてランニングに出れなかったり、うっかり寝坊してしまったり、体調を崩してしまって数日ランニングに出れない日が続くと、やる気はすっかり消えてしまい、真新しいウェアとシューズが部屋に転がっている…なんていう状況になってしまうのです。
最初のモチベーションを持続させることが出来れば、習慣になるまで続けられるのに…でもなかなかやる気が起きない。
さあ、どうしたら「やる気」を起こして続けることが出来るのでしょうか。
やる気を起こす4つの方法
やる気は簡単に起こせる!
「慣れて続かなくなる」のが脳の機能のせいである一方で、脳のある特徴を利用して「やる気」を起こすことが出来るんです。それは「脳がだまされやすい」ということ。例えば、ガッツポーズをしていると落ち込めない、なんていう事例があります。「パワーがみなぎっているからガッツポーズをする」のではなく「ガッツポーズをするからパワーがみなぎる」のです。逆に猫背で下を向いていると気持ちまでどんよりしてきてしまいますよね。そうやって私たちはある「トリガー(きっかけ)」を脳に与えることで「あれ?今やる気があるの?」と勘違いさせることが出来るんです。では具体的な方法についてお話ししましょう。
やる気を出す方法1:とりあえず「やってみる」
ちょっと床を拭いたら他の箇所まで気になって、ついつい部屋全体の掃除をしてしまったなんてことありませんか。やる気を出す一番簡単な方法として「ちょっとやってみる」ということがあります。例えばお子さんに勉強を習慣にしてほしいのであれば、「ワークを1ページ」やらせるよりも「1日1問」の方がやる気が起きやすいということです。ワーク1ページだと何だか面倒くさい…という気持ちになりますが、たった1問であれば何だか出来そうな気がしますよね。そして1問やると「せっかく机に向かったんだし」「1問解けて楽しかったし」と「もう少しやろうかな」という気分になります。やる気が出ない時に「とりあえず少しだけやってみる」というのはとても有効な方法です。
やる気を出す方法2:ちょっと気分を変えてみる
いつも子ども部屋の勉強机で勉強をしている時は、リビングで勉強をしてみる、あるいは図書館に行ってみるなど、「いつもと違うことをする」というのも効果的です。「慣れる」と「飽きる」というのが「三日坊主」の仕組みですが、「毎日同じ場所で勉強すること」に慣れて飽きてしまったのであれば、場所を変えたり、教科を変えることで新鮮さを取り戻すことが出来ます。大人だっていつものオフィスを出てカフェで作業したりすると、突然作業がはかどったりすることありますよね。
やる気を出す方法3:「人の目」を意識する
「気分を変える」ということに近いですが、誰かと一緒にやるというのもやる気を出す一つの方法です。仲間が頑張っている姿は「負けていられない」という気持ちにさせてくれます。そして何よりも、自分一人だと簡単にさぼれることも、誰かと一緒にやったり、誰かに「宣言する」ことでやらざるを得なくなります。誰かに「勉強をする」と宣言すると、相手は「この人は勉強する人だ」という目で見るようになります。宣言したのにやらないと「ああ、この人やるって言ったのにやらないんだ」と思われてしまう。それはお子さんにとっても「カッコ悪いこと」でしょう。その居心地の悪さが行動の源になるケースもあります。
やる気を出す方法4:適切なごほうびを用意する
「ここまでがんばったらマンガを1冊読む!」などごほうびを決めるとそのためにがんばれますよね。大人も同じで「決算を乗り越えたら休みを取って温泉に行くぞ!」と決めると「温泉が待ってる」と辛い時に心の支えになったりします。例えば発表会が終わったらディズニーランドに行く、など適切なごほうびを自分で決めることで、やる気を起こすことが出来ます。
ここで一つ注意点があります。「自分が決めた適切なごほうびでやる気を出す」のと「モノで釣る」のは違うということです。「100点取ったらゲーム買ってあげる」「かけっこで1等だったらおもちゃ買ってあげる」と親がごほうびを決めてしまう、つまり「モノで釣っている」状態ですが、これは「条件」になってしまいます。条件付けをされ続けると、お子さんは「親が望む何かをすれば見返りがある」と学習し、本来自分のためにやるべき勉強や習い事を「交換条件」のようにとらえてしまいます。「モノで釣られた」子は大きくなると「モノに固執する子になる」可能性がありますので、親が決めるモノのごほうびはなるべく使いすぎないようにしてください。
続ける一番のコツは「楽しむこと」
いかがでしたか?慣れて飽きそうになったらやる気を出すためのスイッチを入れる。続けるためには常にモチベーションが高くある必要はありません。やる気にみなぎる日も、何もしたくない気分の日もあってもいい。上下していいんです。大切なのは何もしたくない気分の日をどう乗り切るか。お子さん一人では乗り切れない日もあるでしょう。先にお話しした「やる気を出す4つの方法」を試してあげてもそれでもやる気が出ない時は無理強いしなくていいと思います。何かを続けるために一番大切なのは「楽しい」と思うこと。楽しくなければ何事も続きません。「やる気を出して続けさせる」のも大切ですが、もしお子さんが中々がんばれない時は「本当にお子さんが楽しいと思っているかどうか」を尋ねてあげてくださいね。