子どもにYouTubeを見せたくない時は

今や私たちの生活と切っても切り離せないYouTube。一方で親である私たちは子どもとYouTubeの付き合い方について悩むこともあるのではないでしょうか。出来れば観てほしくない…というのが本音かもしれませんが、今日はYouTubeとの上手な付き合い方についてお話ししたいと思います。

 

 

テレビがYouTubeにとってかわられる時代へ

Google検索でも「YouTube」

最近スマホやパソコンで何かを検索しましたか?「肉じゃが 簡単 レシピ」や「新宿 ランチ おすすめ」と私も毎日のように検索をしています。主に用いるのは1日の検索件数が35億件にも上るといわれている「Google」。最近では「Google先生」と冗談めいた敬称(Googleで検索すれば何でも教えてくれるという意)で呼ばれるようになった検索エンジンGoogleは全世界シェア約8~9割(PC8割以上、スマホ9割以上)を誇っています。

(引用:【2019年版】日本・世界の検索エンジンシェアと種類一覧

 

そのGoogleで検索すると動画がトップに表示されることがありませんか?

個人のデバイスによっても検索結果は左右されることがありますが、私のデバイスで「ボウリング」と検索するとトップに家の近くにあるボウリング場が表示され、そのすぐ下にYouTubeの動画が表示されます。

また、「子育て」と検索するとニュースや自治体の情報の下にYouTubeの動画が表示されます。いずれも検索キーワードによって場所の違いはありますが、検索1ページ目にYouTubeの動画が来るようになっています。

Google検索とYouTubeには関連がありそうですよね。

 

 

「YouTube」は個人の放送局

それもそのはず、Googleは2006年にYouTubeを当時約1800億円とも言われる大金をかけて買収しました。当時は「高すぎるのでは」と言われた買収劇ですが、今現在YouTubeの利用人口は全世界で1か月あたり20億人以上、インターネット人口の1/3とも言われています。(YouTube about プレスルームより)

また、YouTubeの2019年の広告売上高は150億ドル(約1兆6000億円)で、Googleの親会社である「アルファベット」の年間総売上高の約9%を占めています。

つまり、Googleが検索結果でYouTubeを上位に出すことは

全世界シェアNO.1の検索エンジン×インターネット人口1/3が利用する動画サイト

の相乗効果を狙った非常に優秀なビジネスモデルと言えると思います。

 

最近は芸能人でも当然のようにYouTubeに参入しています。以前はテレビやビデオ、ラジオ等の公共の電波を通じてしか情報発信ができなかった芸能人が、パーソナルな情報を発信する場としてYouTubeを選ぶようになっています。

Instagramやブログ等、他のSNSでの発信も勿論盛んではありますが、それらのSNSよりも短時間で圧倒的な量の情報を伝えることができ、時間や場所を制限されない「個人の放送局」としてのYouTubeはますます大きな影響を持っていくことは間違いありません。

 

 

YouTubeを見せないのは可能か?

つまり、わざわざYouTubeのサイトにアクセスしなくても、Google検索をするだけで簡単に子どもたちは動画にアクセスできてしまいます。また、お目当ての芸能人、キャラクターがこぞってYouTube上で魅力的なコンテンツを発表していることから、YouTubeを「見せない」のであれば、スマホやタブレットを「触らせない」ことが最も有効な解決策と言えるでしょう。

 

…ですが、それもなかなか現実的ではないですよね。小さい子を連れての外出ではYouTubeがお母さんのお守りになってくれることもありますし、学校の友達と共通の話題で盛り上がりたい!というお子さんの気持ちも理解できます。

では、具体的にどうしたらいいかについて考えていきましょう。

 

 

 

 

親子会議でルールをつくる

子どもが従ってくれるルールとは?

ゲームもテレビも同じですが、こういう「親としてはちょっと心配なこと」についてはルールを作るのがとても大切です。そしてそのルールは親が納得するかしないか以上に「子どもが従ってくれる実効性があるものかどうか」を良く吟味する必要があると思っています。

 

それでは子どもが従ってくれるルールとはどんなルールなのでしょうか。

私が思うルール作りのポイントは以下の2点です。

 

①決定権は子どもに持たせる

やってしまいがちなのが「YouTubeは1日30分まで!」と親が一方的にルールを決めてしまうことです。自分が子どもの頃を思い出せば納得できると思いますが、親から押し付けられたルールほど「従う気持ち」を萎えさせるものはありません。人は自分で決めたことはやりますが、人から指示されたことはやる気が起きにくいものです。

つまり「自分で考えて決めさせる」ことによって「自分で決めたことをやる」責任を子どもに負わせるのが、実効性のあるルールには不可欠です。人には自分で決めたことをやらないとバツが悪く感じる性質があると言われています。例えばダイエット中に誘惑に負けてお菓子を食べてしまった時、罪悪感に襲われませんか?「ダイエットする!」と宣言した自分がそれと真逆のことをしているわけですから、とても居心地が悪いはずです。特に友人や家族に宣言してしていた時には相当きまりが悪いと思います。

「自分で決めること」と「そのルールを親に共有する形で宣言すること」

子ども自身の「自分で決めた以上、宣言した以上守らないとバツが悪い」という気持ちに訴えかけることがルール作りの大切なポイントです。

 

②誰が聞いても同じイメージができるくらい明確にする

例えば「目が疲れたら休憩する」というルールを決めた場合。「目が疲れる」とはどういう状況を指しているのでしょうか。親はいろいろと衰えが来ていますから、15分もスマホで動画を観たら目がちかちかして「もう休憩しよう」と思うかもしれません。一方で子どもの「目が疲れる」タイミングは15分でしょうか?それ以上?それ以下?

 

曖昧なルールにしてしまうと「認識のずれ」が出てきてしまいます。さらに「目が疲れる」という感覚が正確に理解できていなければ、いつどのタイミングで何をしたらいいか、具体的な「行動」をイメージすることができません。

私は受講生さんに常々「明確さ=行動する力」とお伝えしています。明確でないルールが守られないのは「具体的に行動に移すことが難しいから」です。

ですので例えば「1回当たり15分動画を観たら必ず5分目を閉じて休憩する」「登録してあるチャンネルの動画以外は観ない」等、誰もが共通のイメージを持て、具体的に何をするかが分かる明確なルールを作るといいと思います。

 

 

自動再生機能は必ずオフにしよう!

その上でお勧めしたいのが「動画の自動再生機能」をオフにすることです。YouTubeには一度動画が終了すると、次に似たような動画(チャンネルを問わず)を勝手にオファーし、特に操作しなければ続けて再生する機能があります。

これをオンにしたままだと、お子さんがいつまでも動画を観てしまう状態になりかねません。

この設定はパソコンであれば再生されている動画右下にある歯車の形の「設定」から「自動再生」のチェックを外せばオフに出来ます。

アプリであればご自分のアイコンをクリックし表示されるメニューの一番下にある歯車の形の「設定」から「自動再生」のチェックを外せばオフに出来ます。

 

 

「見せない」のでは問題は解決しない

その上でお伝えしたいのですが、子どもにとって望ましくない(と親が思っている)ものを制限したくなる気持ちは私自身とても良く分かります。何の価値もなさそうな動画や言葉遣いを真似してほしくないアニメやお笑いの動画、そういうものに影響を受けないで欲しいという不安もあります。それならいっそのこと「良くないものは見せない」と決めるのも選択肢の一つとしてありなのかもしれません。

 

ですが、私個人的には今親が制限できたとしても、子どもが成長していく中で必ず観てしまう日が来ると思っています。小さいうちならまだしも、いつまでも親が子どものことを傍で見ていられるわけではありませんから、「もしかしたら私のいないところで観てしまうかも…」とドキドキするよりは、自然体に任せたいと思うのです。

 

実は「見せない」「知らせない」「やらせない」以上に大切なのは「見た」「知った」「やった」のこと。その時に子どもが「どう思ったか」に関心を寄せることだと思います。

 

「見た」「知った」「やった」上で「自分はやらない」と子どもが思ってくれたなら、その決定を尊重すればいいだけです。もし「自分もやりたい」と子どもが思ったなら「なぜそれをやりたいと思ったのか」を尋ね、理解を示し、それからルールを作ることができます。

不安に思うならそれを排除しようとするのではなく、子どもを信じて経験させてみること。

それが根本的な問題解決になるのではと思いますし、私はそうしていきたいと思うのです。

  
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