子育て中のイライラはどんなお母さんも経験しているもの。何に対して怒っているのかよく分からないけれど、何だかイライラしてしまうことありませんか。大丈夫。「怒ってもいい」んです。大切なのはそれを「コントロール」すること。今回は「怒りのコントロール方法」についてお話しします。
目次
子育てで「イライラしない・怒らない」なんて無理!
私たちはストレスフルな時代に生きている
お母さんの多くが「イライラしないママになりたい」「怒らないママになりたい」と一度は思ったことがあるのではないでしょうか。テレビや映画を観れば、本を読めば、SNSを眺めれば、優しそうな笑顔の「お母さん像」。いつも鬼のような形相で子どもにイライラしている私は「母親失格」なんじゃないか…そんな焦りや劣等感を抱いているかもしれません。
でもあえて言わせてください。子育て、いえ、それに限らず「イライラしない」「怒らない」なんてすごく難しいです。実は私たちが1日に感じているストレスは平安時代の一生分、江戸時代の一年分に匹敵するんです!やることがたくさん、常に時間に追われ、膨大な情報にさらされ、たった1日で昔の日本人が感じる一生分のストレスが降りかかってくるんです。その状態で「イライラしない」なんて至難の業ですよね。
イライラの原因は「自分が後回しになるから」
私はお母さんのイライラの一番の原因は「自分が後回しになっているから」ではないかと思っています。人間は基本的には自分の生存のことを一番に考えます。生きるために食べる、寝る、不快なことを避ける、それが人間の本能です。ですが多くのお母さんは、子どもという宝物を手に入れると引き換えに、自分の本能ですら後回しにせざるを得ません。子どもが夜泣きして、1時間ごとに起こされるなんて当たり前。ゆっくり座ってご飯を食べるなんて子育て中は贅沢そのもの。お子さんをおんぶして台所で立ったままご飯を食べたり、お子さんが寝ているほんのわずかな隙にかっ込むようにして味わうことなくご飯を食べる。「やっと休める」と思ったら「ママ、トイレ!」と言われてお子さんのトイレに付き添う…。やろうと思ったこと、やりたいと思ったことを常に我慢してこれだけがんばっているのに「母親なんだから当たり前でしょ」とそのがんばりすら認めてもらえなかったら、誰だって「どうしてこんなにがんばらなきゃいけないの?!私だって自由にいたいのに!」と心が叫ぶでしょう。自分を後回しにしてがんばっていること、これこそがお母さんがイライラする原因なのです。
怒りは抑えようとすると増幅される
だから「怒っていい」んです。自分を後回しにしてがんばっているのにお子さんが、旦那さんが、ご家族が、会社が認めてくれなかったらイライラするのは当たり前です。怒るのは、イライラするのは人間の自然な感情です。そして怒りのような「負の感情」を「なくそう」「我慢しよう」とすると、その感情は増幅されることが分かっています。私たちの生存本能、つまり「死なないこと」を最も重要だと思っているのですが、恐怖や不安などの「負の感情」に敏感に反応するように出来ています。だから「負の感情」を無理やり抑えようとすると「死んじゃうよ!気づいて!!」と、感情がより大きな声で私たちに呼びかけてくるんです。だから怒りを抑えようとするのは逆効果なんです。
大切なのは「怒り」をコントロールすること!
増幅させないためにも怒っていい、大切なのは「怒りをコントロールすること」です。「怒り」は心の中に生まれた野球のボールのようなもの。怒りをそのまま相手にぶつける、ものにあたる、イライラした雰囲気を出すのは、そのボールを力任せに投げているのと同じことです。力任せに飛んできたボール、ぶつかったら痛いですから相手はよけますよね。あるいはよける術を知らない小さなお子さんだと、ボールを真正面から受けてしまい痛い思いをしてしまうかもしれません。大切なのは「相手が受け取れるようにコントロールすること」です。キャッチボールのように、相手が取りやすい球にすることが「怒りのコントロール」であると私は思っています。
「怒り」をコントロールする方法
まずやるべきことは「怒り」を認めること
「怒り」のコントロールでまずすべきなのは「あ、今怒っているな」と認めることです。先の話であれば、心の中に生まれた「怒り」というボールを手に持つことです。「怒り」を無理になくそうとすると増幅されるとお話ししました。まずは一度自分の本能に「大丈夫。ちゃんと気づいているよ。受け取っているよ」とサインを出してあげてください。
目を閉じて映像をシャットダウンする
次に目を閉じましょう。そしてゆっくりと「1、2、3」と数えます。私たちの感情は「視覚」に大きな影響を受けることが分かっています。例えば夕方のニュース番組で美味しそうなハンバーグの特集をしているとしましょう。何となく観ているうちに「美味しそう」「このハンバーグが食べたい」「このお店に行きたい」とお店の場所を検索してしまった、なんてことはないでしょうか。別に最初から「ハンバーグが食べたい」と思って特集を観ていたわけではないと思います。ハンバーグの映像を見ているうちに「美味しそう」「食べたい」という感情が生まれ、ハンバーグを食べるための行動までしてしまう。「視覚」から「感情」が生まれ、その「感情」に基づいて私たちが行動していることが分かる例です。それと同じで、「怒り」の対象となる人やモノを見続けていると、どんどん感情が大きくなっていきます。そしてその感情に基づいて人は行動しますから、つい怒りを相手にぶつけてしまうのです。ですからまずは「見ない」ことをおススメします。見ないでゆっくり数えることで、感情が大きくなるのを止めましょう。
「言葉」を使って感情を小さくする
感情が大きくなるのを止めたら、最後は感情を小さくする、ボールをコントロールして投げる方法を実践しましょう。それには「言葉」を使うことが効果的です。実際に私が子どもに「イラッ」とした時に使っていた方法でご説明しましょう。
子どもがお片付けをしない時。ついついイライラしてしまいがちです。ふてくされた子どもの顔や、注意の原因となった散らかり放題の部屋を見ていると、「せっかくさっき掃除したのに!」「出すだけ出して結局片付けないじゃない!」なんて言うイライラがふつふつとわき上がってきます。そんな時はまず「視覚情報」を一度シャットダウンし、ゆっくり数えます。そして再び目を開けたらこう言うのです。「ま、可愛いんだけどね」と。すると怒りはみるみる小さくなり、子どもが可愛く思えてくるのです。
「視覚」の前には「言葉」があった!
先ほど「視覚」から「感情」が生まれるとお話ししましたが、実は「視覚」の前にあるものが隠れているんです。それは「言葉」です。「もう散らかってる!」という「言葉」と散らかり放題の部屋の「視覚情報」が結びついて「さっき掃除したばっかりなのに何で汚すの!」という怒りの「感情」が作られるんです。私たちは「言葉」と「視覚情報」を結びつけます。例えば子犬の写真を1枚見せる時に「これから可愛い子犬の写真を見せます」と言われた時と「これから可哀そうな子犬の写真を見せます」と言われた時では、写真に抱く感情が変わってきます。「可愛い子犬」と言われたら子犬の表情が愛らしく見えるでしょう。「可哀そうな子犬」と言われたら子犬の表情が悲しげに見えるでしょう。そうやって私たちの感情はつくりだされていくのです。
「言葉」を逆手に取ることが感情のコントールに有効!
ですので「感情」をつくり出すには「言葉」をコントロールすればいいのです。私が使っていた「ま、可愛いんだけどね」という言葉は「言うことを聞かないでイラっとすることもあるけど、自分の子だから可愛いんだけどね」と「負の感情」を「正の感情」に切り替えるために使っていたものです。子犬の写真と同じで「言うことを聞かない子」と呟くと目の前のふてくされた顔が憎たらしく思えますが、「私の可愛い子」と呟くと目の前のふてくされた顔ですら愛らしく思えてくるのです。そうやって心の中に生まれた野球のボールを「この憎たらしい子!」と子どもにぶつけるのではなく、「この可愛い子!」と子どもに投げかける、そうやって私は自分の心を守ると同時に、子どもになるべく痛い思いをさせないようにすることが出来ています。自分の心の整理がついたら、後はお話しすればいいだけですよね。(子どもに注意をする時の注意点についてはこちらでお話ししています)
「言葉」を使って怒りをコントロールしよう!
いかがでしたか?「言葉」を「正の言葉」に切り替える、まるで「言葉遊び」のようですよね。この「言葉遊び」で感情がコントロール出来るようになるならやらない手はないと思いませんか。自分にはどんな「言葉」が合っているか、効果的か、色々試すうちにぴったりの「言葉」に出会うことが出来ると思います。ぜひ試してくださいね。