待ちに待った夏休み。お子さんには色々な体験をさせてあげたいですよね。でも夏休みにパパママの頭を悩ませるものと言えば…そう「宿題」です。夏休み最終日になっても宿題が終わっていない!なんて事態は出来れば避けたいもの。でもお子さんが宿題に取り組んでいる様子がない…。口うるさく言いたくないしどうすればいいの?そんなお悩みを解決する心理学・脳科学に基づいたヒントをお話しします。
目次
夏休みの宿題を先延ばしにしてしまう理由
「最後の日までにやればいいや」は間違い!
あなたは決められたタスクを「早めに終わらせる派」ですか?それとも「追い込まれてからやる派」ですか?
こと「夏休みの宿題」のように比較的期限が長いタスクに関しては、スタンスが分かれるのではないかと思います。
私自身も小学生の頃、「最後の日までに出来ていればいいや」と悠長に構えていたら、結局読書感想文が書けなくて書籍の「あとがき」を参考にして泣きながら書いた覚えがあります。(お子さんはマネしないでくださいね)
「嫌なことは先にやってしまおう」と頭では分かっていつつも、「最後の日までに終わればいいや」と先延ばしにしてしまう。実はこれが宿題が終わらなくなってしまう一番の原因なんです。
人は「使い切りたい」生き物
1958年、イギリスの歴史学者・政治学者シリル・ノースコート・パーキンソンが著した「パーキンソンの法則」という本があります。イギリスの官僚制を観察した結果、「役人の数は仕事の量と無関係に増え続ける」ことに気づいた彼は
「仕事の量は完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する」
という法則を唱えました。
平たく言えば
「まだ時間がある」と思うと時間を全て使い切ってしまう
ということなんです。
夏休みの宿題はまさにその例で、「夏休みの終わりまでまだ時間がある」と言い聞かせる事は、「夏休み一杯まで宿題に時間をかけていい」と自分に許可を出したのと同じと言えます。
自分で自分に「時間をたっぷり使っていいよ」と許可を出す。
私達は自分で決めた事に従いやすい性質を持っています。どんなに私達親が口酸っぱく「早めにやりなさい」と言っても、お子さんの中では既に「時間をたっぷり使う」という決め事がありますから、中々話を聴いてくれません。
こうして宿題の締切を「夏休み最後の日」にしてしまうと、しっかりと「与えられた時間全部」を使ってしまい、最後の日前日、当日あたりになって泣きながら宿題に取り掛かる羽目になります。
ちなみにパーキンソンは「お金」についても同じ事を言っています。
時間と同様に与えられたお金を全部使い切ってしまう、これ、身に覚えがありませんか?(私はあります)
だから予めお給料から一定額を差し引く天引きによる貯蓄は成功しやすいのです。(余談ですね)
正しい締切設定で宿題を終わらせる!
正しい締切設定とは…
ではどうすれば「パーキンソンの法則」通りに時間を「使い切り」しないで済むか。それは「締切の設定」にかかっていると言えます。
締切日を夏休み最終日に設定すると、その日までしっかりと時間を使い切ってしまうのだとすれば、締切は2段階で設定するのがお勧めです。
例えば
①8月20日までに宿題が終わっていればOK。
②でも8月5日までに宿題が終わっていれば最高!!
のように、
①絶対動かせない本当の締切(最低)
②そこまでに出来たら理想だよねという理想の締切(最高)
を設定するのです。
こうする事で途中で進捗状況を確認することが出来、いきなり本当の締切を迎えるのを防ぐことが出来ます。
また、このように「最低」と「最高」の締切を「点」で設定する事により、「いつからいつまでの間にやる」と言う「範囲を指定した」目標の立て方よりも、結果が2点間に収まりやすくなると言われています。
つまり上の例でいえば「8月5日~8月20日の間に終わらせる」よりも「最低で8月20日、最高で8月5日までに終わらせる」の方が明確なポイントが分かるため、目標に向けて動きやすいんですね。
理想の締切に「ちょっとしたご褒美」を用意する
このように2段階で締切を設定したら、モチベーションを維持するために「理想の締切までに出来たら〇〇する」とちょっとしたご褒美を用意してみてください。
モノでも勿論良いのですが、より幸福感が長続きするお金の使い方は「体験」にお金を使う場合です。
夏休みですので例えば家族でどこかに旅行する、お子さんのリクエストで美味しいものを食べに行く等、お子さんの意見を聞いて設定するのがお勧めです。
モチベーションを維持するには「自分で選んで決める」という事がとっても大切。ぜひお子さんとワクワクしながら計画を立ててみてください。
締切設定を制する者が夏休みの宿題を制す
今年は例年と違い、夏休みの時期も宿題の量もイレギュラーなお宅が多いのではないでしょうか。本当なら全力で遊びたかった夏休みが短くなる、あるいはそもそも外出出来ないなど、お子さんのモチベーション維持が難しくなっているかもしれません。そんな時こそ基本のルール「2段階の締切設定」を取り入れ、ご褒美を上手に活用しながらお子さんと一緒に計画を立ててみてくださいね!