静かな家の中に響き渡る「やめてよ!」「僕のおもちゃ取らないで!」「貸してってば!」の怒号…。
四六時中こんな兄弟喧嘩が繰り広げられていては、見ている・聞いているお母さんの方が疲れてしまいますよね。
かといって仲裁に入ったら入ったで「お母さんは弟の味方ばっかりして!」「お兄ちゃんが悪いんだよ!」とまた大騒ぎで収拾がつかない!なんてことありませんか?
今回はお母さんがイライラしないための「兄弟喧嘩の対応3つのポイント」をお話ししていきますね。
目次
兄弟喧嘩にイライラする理由
兄弟喧嘩は「良いこと」or「悪いこと」どっち?
突然ですがあなたは「兄弟喧嘩は『良いこと』『悪いこと』どっち」だと思いますか?
あるいは「兄弟喧嘩」という言葉から浮かぶイメージはどんなものですか?
10秒でご自分の意見を考えてみてください。
さあ、あなたにとって「兄弟喧嘩」はどんなイメージでしたか?実はこの「兄弟喧嘩」に対するイメージが「イライラするかしないか」の分かれ道になると言っても過言ではありません。
恐らく多くの方が「悪いこと」あるいは「やめさせるべきこと」「うるさいこと」「迷惑なこと」等、兄弟喧嘩にネガティブなイメージを持っているのではないでしょうか。
私たちは「言葉」に必ず何かしらのイメージを持っています。
そしてそのイメージに基づいて何かしらの感情を抱く、何かしらの行動をとると言われています。
例えばあなたが兄弟喧嘩に「やめさせるべきこと」というイメージを持っていたとしましょう。
するとあなたは兄弟喧嘩が始まると「やめさせないと!」と真っ先に思うかもしれません。
そして「何で喧嘩になったの?!」と慌てて仲裁に入り、双方の言い分を聞いて何とかその場を収めようとします。
そして兄弟喧嘩が収まると安心します。
何故ならあなたにとって兄弟喧嘩は「やめさせなくてはならないもの」。兄弟喧嘩が起こっている限り「何とかしなきゃ」とそわそわしてしまうんです。
一方であなたが兄弟喧嘩に「喧嘩するほど仲が良い」というイメージを持っていたとしましょう。
するとあなたは兄弟喧嘩が始まると「ああ、またじゃれ合っているな」と思うかもしれません。
そして喧嘩が収まるまで「こうやって喧嘩をすることで仲良くなっていくんだよね」と、ただ見守っています。
むしろ兄弟喧嘩がない方が不安になるかもしれません。
何故ならあなたにとって兄弟喧嘩は「兄弟が仲良しでいる証拠」。兄弟喧嘩が起こっていると「ちゃんとお互いに関心がある証拠」と安心するんです。
感じ方ひとつで対応が変わる
前述の例は少し極端かもしれませんが、私たちは自分のイメージで物事を判断します。
兄弟喧嘩を「良いこと」と捉えるか「悪いこと」と捉えるかは、あなたの「価値観」に基づくイメージの違いだけであって、どちらが優れているか劣っているか、あるいは合っているか間違っているかではありません。
ただもし、今あなたが持っている兄弟喧嘩へのイメージがネガティブなものであれば、それをポジティブなものに変えるというのも、イライラしない対処法の一つです。
ポジティブなものの例としては
・おもちゃをめぐる「真剣勝負」
・大切な「自己主張の場」
・コミュニケーションの「練習の場」
等があるかもしれませんね。
「真剣勝負」「自己主張の場」「練習の場」という言葉に対してどんなイメージを抱きますか?
先ほどの「やめさせるべき」「うるさい」「迷惑」と比べると、何だか違う印象を抱くのではないかなと思います。
こうやって入り口自体を変えてしまうことも、親の「感じ方」を変えて対応を変えるコントロール方法の一つです。
兄弟喧嘩に向き合うための3つのポイント
兄弟喧嘩が起きてしまった時は…
とはいえ、実際に兄弟喧嘩が起きてしまった時「真剣勝負だから…」と黙って見守るにも限界がありますよね。
実は「兄弟喧嘩が起きたらこう対応する」と事前に決めておいた方が、感情がぶれにくく冷静に対応することが出来ます。
ですのでここからは私が思う「兄弟喧嘩に向き合うための3つのポイント」についてお話ししたいと思います。
①どちらが正しいかをジャッジしない
一番やってしまいがちなのが「どちらが正しいか」をジャッジしようとすること。
実は兄弟喧嘩がエスカレートする理由の一つに「親の関心を得る」目的があると言われています。自分たちの意見が対立した時、まだ幼い子供であれば
・冷静に粘り強く交渉する
・話し合いの末、解決案を見つける
・自分は後で構わないと先に相手に譲る
という方法を「知らない」か、あるいは「知っていて、分かっていてもやりたくない」かであることがほとんど。
口や手で相手を押さえつける方がラクですし早いですもんね。
そんな時に「審判」として駆り出されてしまうのが親なんです。
「お母さん、お兄ちゃんがおもちゃ貸してくれない!」
「お母さん、弟が僕のおもちゃ勝手に取った!」
この一言には悲しい気持ち、慰めて欲しい気持ち、共感してほしい気持ちはもちろん、
「お母さんを味方につけて試合を有利に運びたい」気持ちが隠れています。
そこでお母さんが
「お兄ちゃんなんだから貸してあげなさい!」
「お兄ちゃんのおもちゃなんだから我慢しなさい!」
とジャッジしようものならしめたものですよね。
子供達だってきっと「何が正しいか」は分かっています。小さい子に優しくしてあげる、相手が「いいよ」と言わないのに勝手に物を使ってはいけないということはきっと知っています。
でもここで親がジャッジをしてしまうと「分かってはいるけれど素直になれない」状態、つまり「自分の味方をしてもらえなかった不満で話を聴きたくない」という状態になってしまいがちなんです。
親が強制する「正論」も時と場合によっては大事かもしれませんが、「子供達が出す結論」ほど納得感があり、子供達の成長につながるものはないと私は思っています。
子供達が親にジャッジを求めてきたら「自分達で解決してごらん」とまずは優しく、愛情込めて突き放してあげて下さい。
子供達が学ぶチャンスをつくってあげましょう。
②明確なルールを決めておく
あなたはボクシングの試合が始まったら「大変!やめさせないと!」と焦るでしょうか?
観るのが好きか嫌いかは置いておいて、ボクシングの試合であれば「スポーツだから」と割り切って観ることが出来ますよね。
それは「ボクシング=スポーツ」という皆が共有している明確な認識とルールがあるからこそ。
ボクシングには「ダウンしている相手を打ったら反則」というルールがあるそうですが、このルールが明確に存在し、それを皆が守っているからこそ安心して試合が出来るのだと思います。
ということは兄弟喧嘩も同じで
「これをやったら反則」というルールを予め子供達が理解しておくこと
が、親が最も心配する「喧嘩がエスカレートして怪我をしたらどうしよう」という問題を防ぐことにもつながります。
我が家では「手を出したら試合終了」と決めています。その場合はどんな言い分があったにせよ、ルールを破った方(時に両方)を厳しく注意します。
その時の声掛けとしては、「先に手を出した方が負け」等の「勝敗を決める声掛け」ではなく、「手が出たから喧嘩は終わり。解決したければきちんと話し合ってください」とストップをかけるイメージですね。
このルールは親が決めるよりも、子供達と一緒に決めてもらう方が効果的です。まだお子さんが小さいうちは、簡潔で一言で分かるものを提案してあげるといいと思います。
③「救護班」でいよう
その上で一番大切な役割は「心の救護班」でいることです。
お互いの主張のぶつかり合い、言った方も言われた方も、悲しい思いや悔しい思いをしているかもしれません。
そういう時は「ジャッジする」のではなく「心のケア」をしてあげましょう。
「心のケア」というと難しく感じますが、ただ話を聴いてあげる。
「そう、一人で遊びたかったんだね」
「一緒に遊びたかったんだね」
「そっか、悔しかったんだね」
お子さんの口から出た言葉を繰り返してあげてください。
おススメは抱きしめてあげること。抱きしめているとお母さん自身も優しい気持ちになり、話を聴いてあげようという心の余裕が生まれやすいと思います。
感情をしっかり吐き出した後は、意外と子供達はケロッとしているもの。
そうしてまた仲良く遊びだしてくれるのであれば、親としても嬉しいですよね。
自分がどうするのが一番笑顔でいられるか
いかがでしたか?もちろんこの対応が正解ではありませんから、ご自分の参考になるところだけ試してみていただければ嬉しいです。
我が家でも毎日姉妹喧嘩が繰り広げられ、疲れている時や集中したい時は「頼むからやめて!」とつい声を荒げたくなることもあります。
そういう時に自分がどうするのが一番笑顔でいられるか。
頼むからやめて!と一喝してやめさせた方が切り替えが出来てラクなのか
「私は仲裁しないからね」と予め伝えておくとラクなのか
何もしないよりも間を取り持つ方がラクなのか
「何が正解か」も大事ですが、「自分がどうしたいか」を知っておくのもイライラのコントロールには有効です。
我慢しすぎず、上手に兄弟喧嘩のイライラと付き合っていけたらいいですね。