「天才の育て方」「トップアスリートの親に学ぶ子育て」など、子どもの可能性を伸ばすための子育て本は巷にあふれています。でも実は日常でできる一番簡単な方法があるんです。今回は「親が頑張らないのに子どもの可能性がぐんぐん伸びる!」という魔法の言葉をお伝えします。
目次
天才の育て方
散歩に出るまでに30分待てますか?
以前有名なスポーツ選手のお母様が、まだその選手が小さかった頃のエピソードをお話しなさっていました。それはお散歩に出かける時のこと。お母様はその選手が自分で靴を履けるまで30分以上口出し、手出しをせずに待っていたそうです。そうやって待つことが自主性を育て、「自分で出来た」という小さな成功体験の積み重ねになるからです。小さな「出来た」を毎日積み重ねていくと「自分なら出来る」という「自分への信頼」が生まれます。「自分なら出来る」と自分を信じることこそが、「靴を履く」という小さな目標から「試合で勝つ」という大きな目標まで、何かを成し遂げる時のエネルギーになってくれるのです。
天才を育てるには時間がかかる
とはいえ、毎日忙しい親御さんが散歩に出かけるだけで30分も待つなんて、並大抵の覚悟では出来ません。ほとんどの方が普通に家を出る時ですら「早くして!」とついお子さんを急かしてしまうのではないでしょうか。頭では「子どもの自主性を伸ばすために待ってあげた方がいい」と分かっていながらも中々出来ないのは、「これから近い未来に起こるであろうこと」をより重要視しているからです。「今時間をかけてしまうと保育園に、会社に遅刻してしまう」という近い未来と、「子どもの自主性を損なうかもしれない」という遠い未来と比べた時に、人は「近い未来」の方を重要視する傾向にあります。
天才を育てるには労力・お金もかかる
フィギュアスケートの選手を育てるために必要なお金がいくらくらいか調べたことがありますか?靴や衣装、レッスン代、スケートリンクの使用代に加え、海外遠征費等を加味すると、何と年間300万円以上かかるという試算もあります。また、トップスケーターともなるとその費用は年間1000万円~2000万円になるとか…。国税庁の民間給与実態統計調査によると、平成28年度の給与所得者(サラリーマン)の平均年収は男性521万円、女性280万円とのことですから、それこそ家をかけて習い事に臨まなくてはなりません。また、海外遠征の送迎、普段のレッスンの送迎等、親御さんがやらなくてはいけないことも多く、労力を考えてもかなりの覚悟がないと出来ないですよね。
我が子を天才にするのは無理?
時間も労力もお金もかかる。親も相当な覚悟をしないといけない…そう考えると、お子さんを天才に育てたいと思いつつも「無理!」とギブアップしてしまう親御さんもいらっしゃるでしょう。お母さんは(もちろんお父さんも)毎日子育て、家事、仕事とやることが多くて本当に大変。その上で更にお子さんを「天才に育てる」ために頑張っていたら疲れてしまいます。天才と呼ばれる子やトップアスリートの親御さんの話や本に学ぶところは沢山ありますが、それをそのまま実行しようとしてお母さんが疲れてしまったり、イライラしてしまっては逆効果。むしろやらない方がいいかもしれません。
子どもを天才にするために親はこれだけすればいい!
親ががんばる必要はない
では、お子さんが天才になるのを諦めた方がいいのでしょうか。いえ、そんなことはありません。楽してお子さんの可能性を伸ばす方法があるんです。そもそも、お子さんの夢のために「親が苦労すべき」という思い込みは捨て去ってください。「親は子どもの夢を全力で応援する」方がいいのかもしれませんが、それは「親が苦労しなくてはならない」ということとイコールではありません。夢を叶えたいのは誰ですか?そのために努力するのは誰ですか?そう、お子さん自身です。多くの親御さんは子ども想いでがんばり屋さんなので、「子どものためなら自分だってがんばらないと!」と張り切りすぎてしまいます。本来であれば「お子さんの問題」としてとらえるべきものをいつの間にか「自分の問題」にしてしまい、一緒に悩み、苦しみ、苦労してしまうんです。だからまずは「親も覚悟を決めなくてはならない」という思い込みを捨ててしまいましょう。
「義務」と「責任」で動かない!
子どもの夢に親が覚悟を決める、つまりとことん付き合おうと思うと「責任」という言葉が重くのしかかってきます。平日仕事をしているから休みたい、子どもの練習に付き合うのはしんどい、でも「応援するって決めたから」と身体に鞭打って子どもと広場でボールを蹴る…まるで「義務」のようですよね。親御さんだって一人の人間です。「義務」ばかり増えると嫌になってしまうでしょう。そして「責任」や「義務」を考えると「自分が出来る条件かどうか」が気になってしまいます。お子さんがどんどん新しいことにチャレンジする姿を嬉しく思うと同時に「自分に出来るかな」「本当はこれ以上やって欲しくないんだけど…」と心の底にモヤモヤを抱えることになります。さらに、そこまで自分が時間や労力をかけたにも関わらずお子さんが不真面目だったり、簡単に「辞める」と言った日には、怒りを覚えてしまうことだってあるんです。それは全て「責任」と「義務」でがんばってきたから。そのがんばりが無駄になると思うと腹が立ってしまうんですね。
親ががんばらないと心から応援してあげられる
だからこそ親御さんが「責任」や「義務」でがんばるのはおすすめしません。「やってあげたい」と思った時にやってあげるので十分だと思うんです。親御さんの自発的な思いで取り組むことが出来れば、心からお子さんを応援することが出来ます。その上で、時間、労力、お金の問題だって解決してしまうかもしれない、魔法の言葉をお伝えしますね。
「どうしたらいいと思う?」は子どもを天才にする魔法の言葉!
お子さんに「どうしたらいいと思う?」と尋ねるようにしてください。これには時間も労力もお金もかかりません。でもこれだけでお子さんが「天才脳」になります。
例えば「フィギュアスケートをやりたいんだけど」とお子さんが相談してくるとしましょう。「親は子どもの夢を応援すべき」という「責任」や「義務」で考えてしまうと親御さんがスクールや費用等を調べてお膳立てしてしまうでしょう。またその結果「うちにはそんなお金がないから無理!」とお子さんの「芽生えたばかりの夢」を否定してしまうことになるかもしれません。それでは「天才脳」は育たないですよね。
だからまず「どうしたらいいと思う?」と訊いてみてください。お子さんに自分で調べさせるんです。お子さんが調べた結果を踏まえてまた質問し、その答えに対してまた質問し…を繰り返しましょう。こんなイメージです。
お子さん「どうしたらいいの?」
あなた「どうしたらいいと思う?フィギュアスケートを習うにはまず何が必要かな?」
お子さん「練習する場所…それから先生?」
あなた「そうだね。それは調べてみた?」
お子さん「ううん、まだ」
あなた「じゃあまず自分で調べてごらん。それが出来たら教えてくれる?」
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お子さん「調べてみたよ!〇〇ってところで出来るみたい」
あなた「よく調べたね。〇〇で練習をするにはどうしたらいいの? …」
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こうやって質問を繰り返すことのメリットは2つあります。
質問法で「自主性」が育ち「本気度」が上がる!
質問されるとお子さんは自分で考えなくてはなりません。天才やトップアスリートは間違いなく「自分で考え行動できる」人です。自分がやるべきことを考え、きちんとやるからこそ結果が出るのです。「どうしたらいいか」を自分で考え「調べる」というのは「自分で考え行動すること」に他なりません。これを繰り返させることで親に言われなくても自分で課題を見つけ、課題を解決する「自主性」が育ちます。
そしてこのプロセスを繰り返すことはお子さんの「本気度」を確かめるという意味で非常に有効です。「ちょっと思っただけ」であれば調べているうちに「やっぱりやめた」となる可能性がありますが、何度も繰り返し課題を見つけ調べてみてもそれでも「やりたい!」と思えるのであれば、お子さんの本気度は非常に高くなります。現実をきちんと理解した上でそれでも「やりたい」と思って物事を始めるのと、与えられた情報をもとに「何となく」物事を始めるのと、どちらが結果が出そうでしょうか?そう、確実に後者の方が結果が出そうですよね。親だって応援するなら「本気で頑張る姿」を応援してあげたいものです。
本当に問題が解決した!
この質問法はお子さんの自主性を高め、本気度を上げるだけでなく、本当に時間やお金の問題も解決してくれます。「時間が、お金がない」では何一つアイデアは生まれませんが、「時間を、お金を生み出すにはどうしたらいいか」を考えると、人の脳は全力でその方法を探し出すのです。
私が好きな本をご紹介しましょう。南谷真鈴さんの「自分を超え続ける―――熱意と行動力があれば、叶わない夢はない」という本です。彼女は19歳の時に日本人最年少でエベレスト・七大陸最高峰の登頂に成功しました。海外に住んでいたという彼女の幼少時代の環境を聞けば「金銭的にも恵まれていたから登山が出来たんでしょう?」と思う方もいるかもしれません。でも彼女は親からの金銭的な援助を受けずに、自分でスポンサーを探して登頂資金を工面したのです。これぞまさに「お金がない」ではなく「お金を生み出すにはどうしたらいいか」を考えた「天才脳」です。そしてその「天才脳」はお金や時間をかけずに、親が「質問してあげること」で育つのです。
正しい質問で「天才脳」を育てよう!
いかがでしたか?お金や時間をかけずに「天才」を育てることが出来るのであればやらない手はないですよね。
一つだけ注意点をあげるとすれば、この「質問」は「詰問」であってはならないということです。お子さんの成長を見守る温かい気持ちと眼差しを以て答えを促してあげてください。大人は「答えが合っているかどうか」を重視してしまいがちです。でも答え以上に大切なのは「自分で考え、調べる」というプロセスです。
親ががんばらない「質問法」で、お子さんの夢を応援していきましょう!